営業職の採用に頭を抱える企業は多いはずです。
慢性的な人手不足に加えて、早期離職も多いため、採用しても人材が定着せず、結局また募集をかける…という悪循環に陥りやすいのが現実です。

ある企業でも、1名の営業採用に100~200万円というコストが発生していました。
しかし、ある一つの工夫を取り入れただけで、採用単価がわずか3万円にまで下がったのです。

この記事では、その企業が実践した採用戦略と、再現性のあるポイントを具体的にご紹介します。

◆ 営業職が「採れない」最大の理由

営業職が避けられる背景には、過酷な労働環境があります。
中でも、休日の少なさや不規則なスケジュールがネックとなり、多くの求職者が応募をためらう傾向にあります。

たとえば住宅販売の現場では、見込み客の都合に合わせて土日出勤が当たり前という職場も多く存在します。
接待や休日の業務対応が求められることもあり、プライベートの確保が難しくなるのです。

このような現実が、「営業=しんどい仕事」というイメージを固定化してしまっている要因です。

◆ 高収入だけでは人は集まらない

営業職の募集では、「インセンティブが高い」「成果報酬で年収アップ可能」といった魅力を押し出すことが一般的です。

しかし、実際には「お金が良くても、働き方が過酷では続かない」と感じている求職者が増えています
特に、過去に営業を経験している人ほど、その傾向は顕著です。

こうした背景を踏まえ、先述の企業は“報酬”ではなく“働きやすさ”にフォーカスした採用手法に切り替えたのです。

◆ 実施したのは「土日休みの営業職」という明確な訴求

この企業が行ったのは、採用メッセージの再構築でした。

まずターゲットを「営業経験のある人材」に絞りました。
営業職としてのノウハウがある一方で、過酷な環境に疲れ、“次はもっと自分らしく働ける場所を探したい”と考える層にアプローチしたのです。

そして、最も前面に打ち出したのが、

「土日が必ず休める営業職です」

という明確なメッセージ。

それだけでなく、なぜその働き方が可能なのかについても、しっかり言語化しました。

▼ 具体的な説明例:

弊社では、社員の継続的な成長と健全な生活を重視しています。
そのため、チーム営業体制や効率的な業務設計により、営業活動は平日のみで完結できる仕組みを整えています。
無理な週末対応を求めず、長く安心して働ける環境を構築しています。

このように企業としてのスタンスや仕組みを言葉にすることで、応募者との共感が生まれました。

◆ 採用単価が3万円になった理由

このメッセージに共鳴した営業経験者からの応募が急増。
人材紹介会社などに頼らず、自社の採用ページやSNSを活用したことで、1人あたりの採用コストは約3万円にまで抑えられたのです。

しかも、入社後の定着率も高く、長期的に活躍する人材を確保できるようになりました。

◆ 他業界での活用事例

この戦略は営業職だけでなく、他の業界でも応用可能です。
実際に以下のような成功例も報告されています。

  • 保険業界:オンライン面談中心の営業スタイルを導入 → 飛び込み営業ゼロ
  • 卸売業:社内ルールで「土日連絡禁止」を徹底 → ワークライフバランスが改善
  • 不動産業界:内勤営業の強化 → 土日は家族と過ごせる働き方を確立

◆ 採用成功のポイントは“企業の哲学”まで伝えること

営業職に限らず、今の求職者は「どんな働き方ができるのか」を非常に重視しています。

ただ単に「土日休み」と書くのではなく、
その背景にある経営理念や体制を言語化することが、共感と信頼を生み出す鍵です。

◆ 今すぐできる3つのアクション

  1. 働き方の強みを棚卸しする
     - 自社ならではの働きやすさや制度は?
  2. なぜそれが実現できているかを説明できるようにする
     - 単なる条件提示にしない
  3. 求めるターゲット層に届く採用メッセージを作成する
     - 例えば営業経験者向け、家庭重視の人材向け、など

どれだけ報酬が高くても、「働く環境」に魅力がなければ人材は定着しません。

企業の価値観に共鳴してもらえるような採用メッセージが、これからの時代のカギになるはずです。