BtoBビジネスでは、
「一度きりの取引で終わってしまう」
「継続受注やクロスセルにつながらない」
という悩みを抱えている会社は少なくありません。
東京のある動画配信スタジオも同じ課題を抱えていました。
案件単体では満足度は高いものの、その後の追加発注や別部署からの相談に結びつかない。
LTV(顧客生涯価値)をどう伸ばすかが大きなテーマだったのです。
そこでヒントにしたのが、通販業界の「同梱チラシ」でした。
着眼点:必ず見られる「書類」をメディアとして使う
通販では、商品と一緒に入っているチラシが高い反応率を生みます。
理由はシンプルで、「必ず開封され、必ず目に入る」からです。
この原理をBtoBに置き換えたとき、真っ先に思い浮かんだのが、
- 納品書
- 請求書
- 見積書
といった業務上必ず確認される書類でした。
これらは開封率・閲覧率がほぼ100%の、極めて貴重な接点です。
しかし多くの企業では、単なる事務処理の書類としてしか扱われていません。
「ここをマーケティングの場として使えないか?」
そう考えたのが、この施策の出発点でした。
実践内容:納品書に“営業資料”ではなく“社内で使える資料”を添える
この会社が実践したのは、納品書+開催レポート(事例資料)という組み合わせです。
たとえば株主総会の動画制作を納品する際には、
- 納品書
- 「○○様 株主総会 開催レポート」
をセットで提出します。
このレポートには、
- 当日の進行や構成
- 参加者の反応
- 使用した配信・撮影技術
- 運営上の工夫ポイント
などを、誰が見ても分かる形でまとめます。
そして最後に、
「社内共有資料としてもご活用ください」
という一言を添えます。
売り込まない。でも、自然に広がる
この手法で重要なのは、営業色を極力出さないことです。
「追加でこんなサービスもできます!」と前面に出すのではなく、
あくまで
- 上司への報告
- 他部署への共有
- 社内資料としての活用
を想定した“実用的な資料”として設計します。
すると、
- 「この動画、他の部署でも使えそうだね」
- 「次のイベントでも同じ会社に頼もうか」
と、社内で自然に話題に上がり始めます。
結果として、
別部署からの相談
追加案件
改善提案ベースでのアップセル
につながっていきました。
応用はさまざまなBtoB業界で可能
この考え方は、動画制作に限らず幅広い業界で応用できます。
- システム開発会社
納品書+「システム導入効果レポート」を添付し、業務改善効果を数値で可視化 - 研修会社
請求書+「研修効果測定レポート」で、次の研修提案への導線を作る - 印刷会社
見積書+「印刷物活用事例集」で、他の制作物やデザイン提案につなげる
共通しているのは、
「相手にとって役に立つ資料」であることです。
ポイント:LTVは“新しい接点”ではなく“既存の接点”で伸ばせる
BtoBのLTV向上というと、
- メルマガ
- 営業フォロー
- 定期訪問
など、新しい施策を考えがちです。
しかし実際には、
すでに必ず接触している場面をどう活かすかのほうが、
低コストで再現性が高いケースも多いのです。
納品書・請求書・見積書は、
「見られることが保証されたメディア」。
ここに価値ある情報を添えるだけで、
自然なアップセル・クロスセルの仕組みが作れます。
今日からできるアクション
- 接点の洗い出し
必ず見られている書類・タイミングを整理する - 付加価値の設計
社内共有・報告に使える資料を考える - 仕組み化
毎回添付することを業務フローに組み込む
「売る」ではなく、「役立ててもらう」。
その発想が、BtoBのLTVを大きく変えてくれます。